2024.02.19 園芸のこと
オリーブを育てよう!育てる編
1年を通して綺麗なグリーンの葉を茂らせ、風に揺られてキラキラと光るオリーブはとても魅力的な植物です。
実を収穫するだけでなく、木そのものの姿を鑑賞するのもオリーブを育てる大きな楽しみのひとつ。
特別なお世話をしなくても丈夫に育つオリーブですが、小さな苗木のころから手をかけてあげることで、見違えるほどよく育ちます!
もくじ
1. 元気に育てる6つのポイント
2. 地植えのやり方
- 準備するもの
- 手順
3. 鉢植えのやり方
- 準備するもの
- 手順
1. 元気に育てる6つのポイント!
光
ギリシャやトルコなどがある、地中海地方が原産のオリーブ。
太陽と温暖な気候が大好きで、日照量が多いほど元気に生長します!
年間の平均気温が『15~22℃』ほどで、冬場に−10℃を下回らない地域であれば地植えでもOK!
鉢植えであれば、冬は室内に移動できるので雪の多い地域や寒さの厳しい地域でも育てることができます。
水
乾燥に強いと思われがちなオリーブですが、水が少ないと木の生育が悪くなってしまいます。
特に、7~9月と冬の時期は水切れには要注意!
休眠期の冬は、そこまで水をあげなくても良い植物もありますが、オリーブの場合は休眠している冬場の水やりがとっても大切。
なぜなら、オリーブは冬の間に花や芽をつくる準備を始るから!
この時期に水切れを起こしてしまうと、花や実付きが悪くなってしまうのです。
地植えの場合、しっかりと根が張るまでは定期的な水やりが必要ですが、根付いてしまえば不定期でも大丈夫。
鉢植えの場合は、1年を通して、土が乾いたら鉢底から水が流れ出るまで、たっぷりと水をあげましょう。
風
風通しが良くないと、湿気がこもってカビが生えたりダニなどの害虫が発生したりするなど、さまざまな弊害が…。
時期に合わせてこまめに剪定をし、つねに枝の奥まで光が当たって、風がよく通る状態にしておくことで、枝や葉が元気にいきいきと育つようになりますよ。
土
オリーブは水はけの良い、弱アルカリ性の土を好みます。
水はけが悪いと根腐れを起こしやすくなってしまうため、注意が必要です。
水はけを良くするためには、土壌改良材として赤玉土やパーライト、くん炭、堆肥を入れるのがオススメ!
くん炭を入れると、保湿性が上がるだけでなく、土の中にすき間を作ってくれるため通気性もアップします。
また、堆肥や腐葉土を混ぜ込むことで土がフカフカになり、根の張りやすい土にしてくれます。
弱アルカリ性の土は、苦土石灰を混ぜて作ります!
日本の土壌は酸性土壌が多いので、植付け前に苦土石灰をよく混ぜ合わせて酸度を調整しておきます。
pHを「1」上げるためには、1㎡あたり300~400g程度の苦土石灰が必要と言われていますが、商品のパッケージに記された量を基本に調整しましょう。
この作業は、最低でも植付けの1カ月前までには完了させておきましょう!
鉢植えの場合は、オリーブ専用の土を使うと失敗知らずですよ。
💡石灰と肥料は、同じタイミングで混ぜないように注意!
石灰を土と混ぜ合わせたら、最低でも1週間あけてから、肥料を混ぜ合わせましょう。
また、実際に植付けをする時も、肥料を混ぜてから1週間ほど間をあけてから植え付けます。
土づくりには、思ったより時間がかかるので、早めに取りかかるのが吉です。
おすすめしたい、培養土!
- プロトリーフ オリーブの土
オリーブの専門家、岡井路子さんがオリーブのためだけに研究してできたオリーブ専用の培養土です。
オリーブの根が好むアルカリ性で根がしっかりと張れる重い土になっています。
鉢植えでオリーブを栽培したい方にオススメです! - バイオゴールド ストレスゼロの土
土の団粒構造をキープしてくれるので、水はけと水もちが良く、植物にとってより良い根の環境を整えてくれる土です。
水質浄化機能も持ち合わせているので、高温多湿や根ぐされに負けない強い根が張ります。
5~6年は植え替えをしなくて済むというから驚きです。
少しお高めなお値段ですが、その価値アリです。
肥料
オリーブは、バラと同じく肥料をたくさん食べます!必ず肥料を与えましょう。
肥料をあげないと、新芽が出ない、葉の色が黄色くなるなどの弊害が出てしまいます。
ただ、植えはじめに肥料を与えすぎると根腐れを起こす可能性もあるため、控えめでスタートするのがオススメ。
基本的には、2~3月・6月・10月の年3回与えます。
与える肥料は、できれば油かすなどの有機肥料が良いです!
化成肥料の場合は、効き目がゆっくりの緩効性のもので、チッ素・リン酸・カリがバランスよく配合されているものを選びましょう!
オススメの肥料
肥料の与え方
- 地植えの場合
枝の先端の真下あたりに、円を描くように撒きます。
その後、土とよく混ぜ合わせます。 - 鉢植えの場合
鉢の縁近くに固形肥料を置き肥します。
こうすることで、根が生長した時に吸収しやすくなります。
置き場所(鉢植えの場合)
オリーブが毎年元気に新芽や花を付けるためには、育てる場所も重要です!
基本的に、オリーブは屋外で育てる植物です。自宅やオフィスの中で楽しむ植物としては、あまりオススメできません。
1年を通して、日当たりと風通しの良い場所で育てます。
冬場の寒い時期は、寒さに負けてしまわないか心配になって屋内に取り込みたくなりますが、オリーブは花芽をしっかり付けるためには寒さに当てることがとても大切です。
オリーブは冬の間に花芽をつくる準備を始めます。
10℃以下の低温に20日間以上当たらないと、花芽の付きが悪くなり、実の付きも悪くなってしまいます。
ただ、北海道や東北などの寒冷地の場合は、霜が降りる前に屋内に取り込み、霜の心配がなくなる時期まで、玄関などの暖房のない場所で管理をしましょう!
2. 地植えのやり方
一度根付いてしまえば、水やりの手間がいらないのが地植えの良いところ!
植付け時期は、3月~4月頃がベストです。
準備するもの
- オリーブの苗木
- 堆肥(腐葉土や牛ふん堆肥など)
- 土壌改良材(赤玉土やくん炭など)
- 肥料(緩効性のもの)
- 苦土石灰
- 支柱(90cmのものを、3本くらい)
- ひも
- 名札
手順
- 直径 50cm、深さ 50cmくらいの穴を掘ります。
穴の底が狭くなってしまわないように、垂直に掘るように意識しましょう! - 掘り上げた土に苦土石灰と、くん炭や赤玉土などの土壌改良材を混ぜ込みます。
土と資材が均一になるように、よーく混ぜ合わせます。 - ②に元肥として、油かすなどの肥料を混ぜ合わせます。
②と③の間は、必ず2~3週間ほど時間をあけてから行いましょう! - ③で作った土を掘った植穴に戻します。
オリーブの株元に付いている土が、地表からちょっと頭を出す程度の高さに調整しながら土を戻します。
この作業は、③の作業後1~2週間ほど時間をあけてから行います。 - 苗木の根をほぐして、植え穴の真ん中に置きます。
地表から少し高くなるように調整しながら、残りの土を戻していきます。
オリーブは水はけが良い環境を好むので、高植えで植えましょう! - 埋め戻した土を、足でしっかり踏み固めます。
- 株のまわりに、5~10cmほどの高さでドーナツ状に土を盛り、水鉢をつくります。
- 支柱を立てます。
支柱は、1・2本よりも3本で立てるほうが、いちばん良く安定します。 - 時間をかけて、じっくりと水をあげます。
- 枝か幹に名札を付けて完成です!
Point!
- 植える場所は、よく考えて選ぼう!
水はけと風通しが良く、日当たりの良い場所が大好きなオリーブ。
雨が降った後の水のはけ方や、1日の日の当たり方などをよく観察して、最適な場所を選びましょう! - 深植えはNG!
株元が土の中に沈んでしまわないように少し高めに土を盛っておくと、株元に水が溜まらないので水はけの良い状態を保つことができます。 - 支柱は忘れずに!
根元がぐらついてしまうと、オリーブがちゃんと根を張ることができません。
オリーブがしっかりと根を張ってくれるまでは、支柱を忘れずに立てておきましょう。
ちなみに、オリーブは浅く根を張ります。
3. 鉢植えのやり方
鉢植えしたオリーブは移動ができるので、その時期に合わせて、最適な環境を選んで管理できるのが嬉しいポイント。
スペースがあまりなくても、数多く育てることができたり、剪定で好きなサイズで楽しめるのも魅力的です。
地植えよりも鉢植えの方が、早く実を付けやすいという良さもあります!
準備するもの
- オリーブの苗木
- 鉢
ー 苗木のポットより一回り大きいもの - 鉢底ネット
- 鉢底石
- 土(専用の培養土など)
- 肥料(緩効性の肥料)
- 支柱
- ひも
- 名札
手順
- 土に元肥をよく混ぜ合わせておく。
肥料の量は、培養土や肥料のパッケージに記載されている規定量を目安に。
植付けの1~2週間前までに、肥料を混ぜ合わせておくとよりGoodです! - 鉢底に鉢底ネットを敷き、鉢底石を3~5cmほどの高さまで入れます。
- 一度、鉢の中に苗木を置いてみて、入れる土の量を確認します。
鉢の縁から、2cmほどの高さをウォータースペースとして確保しておきましょう! - ①で作った土を、苗木を置く高さまで足します。
- 苗木をポットから抜き、古い土をできるだけ落としておきます。
根っこは「前髪をそろえる」ような感覚で、先端を切ります。
こうすることで、根もドンドン増えて広がっていきます。 - 苗木を鉢の真ん中に置いて、土を足していきます。
苗木が鉢の中でしっかり安定するように、苗木と鉢の間に両手を垂直に差し込み、ギュッギュッとおさえます。 - 支柱を立てます。
根元の方をワイヤーなどで固定します。しっかりと根付くまで、支柱は立てたままで。 - 鉢底から水が流れ出るまで、たっぷりと水をあげます。
- 名札を付けたら完成です!
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最後までご覧いただきありがとうございました!
そろそろ、地植えにもベストの季節。
シンボルツリーにぴったりなオリーブ、いかがでしょう。
参考資料
・岡井路子『よくわかる栽培12か月 オリーブ』-NHK趣味の園芸
・岡井路子『育てる・食べる・飾る まるごと楽しむ オリーブの本』-主婦の友社