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2023.12.10 農業のこと

リン酸を、もっと詳しく!

チッソ、カリウムと同じ「肥料三大要素」のひとつで、植物の生長にかかせない「リン酸」
今回は、そんなリン酸の働きや特徴、おすすめのリン酸肥料などをご紹介いたします!

リン酸のはたらき

リン酸は、生き物の細胞膜やDNAを構成するとっても大切な要素です。
体内でのエネルギーのやりとりにも役立っています!
植物では、葉や根の生育をサポートするだけでなく、花つきや実つきを良くする働きがあり、作物の生長にかかせない栄養素です。

リン酸が少ないとどうなるの?

リン酸が少ないと、作物の生長がほぼストップしてしまいます。
花の数が少なくなって実つきが悪くなったり、成熟が遅れてしまったり…。
甘味も弱くなり美味しくなくなってしまう場合もあります。
また、新しく出た葉も小さくなり、茎も細くなります。

リン酸の特徴

リン酸は、土の中の「アルミニウム」や「鉄」とくっつきやすい性質があります。
アルミニウムや鉄とくっつくと、リン酸が溶けにくくなって、植物に吸収されにくくなります。
これを「リン酸の固定化」といいます。
日本の畑によく見られる、火山灰を多く含んだ黒っぽい土はアルミニウムが多いため、リン酸が不足しがちになります。

ク溶性、可溶性、水溶性のちがい

肥料に含まれているリン酸や苦土などの栄養素は、水や酸に溶けて分解されることで、根から吸収されやすい状態に変化します。
その溶け方や効き方によって、「ク溶性」「可溶性」「水溶性」の3つに分けられています。
肥料の裏面に書かれている「生産業者保証票」でも、この3つの区分をよく目にしますよね。
「ク溶性」「可溶性」「水溶性」は、それぞれ何がちがうのかを解説します!

ク溶性

水には溶けず、2%程度のクエン酸で溶けることを「ク溶性」といいます。
ク溶性の「ク」は、クエン酸の「ク」を指しています。
植物の根から出る「根酸(こんさん)」の中に含まれているクエン酸で、少しずつゆっくりと溶けていきます。
そのため、根のまわりでしか溶けず、植物が必要な分だけが溶けて吸収されます。
また、土の中のアルミニウムなどとくっついて固定化されにくいので、無駄なく植物の栄養になります。
効果もゆっくりと徐々に現れるため、元肥として使うのがおすすめです!

💡ここでワンポイント!
植物の根からは、クエン酸以外にもタンパク質やアミノ酸、糖なども分泌されています。
根から分泌される酸を総称して「根酸(こんさん)」といいます。

可溶性

ク溶性と同様に、水には溶けず根から出る根酸で溶けることを「可溶性」といいます。
ク溶性とのちがいは、その溶けるスピード。
可溶性の方がより溶けやすく、ク溶性よりも早く効果があらわれます。
ク溶性のものと同様に元肥として使うのがおすすめです!

水溶性

その名のとおり、水に溶けることを「水溶性」といいます。
水に素早く溶けるため、すぐに効果があらわれます。
ただ、水に溶けやすい分、成分が土の中から流れ出てしまったり、土の中のアルミニウムや鉄とくっついて固定化し、植物が吸収にしくい状態になってしまったりすることが多いです。
速効性があるため、追肥として使うのがおすすめです!

TaiShoDo おすすめ!リン酸肥料

過リン酸石灰

水溶性のリン酸を多く含む、速効性の肥料です。追肥として使うのがおすすめ!
硫酸カルシウムも含んでいるため、カルシウムを補給できるのも嬉しいポイント!
水溶性のため効果は高いですが、土の中のアルミニウムなどと結合して植物が吸いにくい形になりやすいです。
堆肥やボカシ肥などのような、有機質の肥料に包んで施肥すると、アルミニウムや鉄とくっつきにくくなるため、固定化するのをある程度は防ぐことができます!

Mg双焼燐

速効性のある「水溶性リン酸」と、緩効性の「ク溶性リン酸」の両方を含んでいるため、元肥としても追肥としても使える肥料です。
リンのはたらきを助けるマグネシウム(Mg)も含んでいるため、相乗効果で植物の生長に高い効果を発揮します!
作物の生育初期から中後期ごろまで、効果がながぁ~く持続します。

ようりん

ク溶性リン酸を多く含む、緩効性のリン酸肥料です。元肥として使うのがおすすめ。
ケイ酸やマグネシウムなどの微量要素が含まれているのも、嬉しいポイント!
米作りにも野菜作りにも果樹苗を育てるのにも、幅広く使うことができます。
ようりんを使うと、作物の色味が良くなったり甘味・風味が強くなったりと、良いことたくさんです!

バットグアノ

ク溶性の有機リン酸とカルシウムを豊富に含んだ、有機肥料です。
マグネシウムや鉄分、ケイ酸、腐植酸(フミン酸)などの微量要素をバランスよく含んでいるのも嬉しいポイント!
作物の生育向上だけでなく、土壌中の微生物を活性化させ、カチカチになっていた土を作物が育ちやすいフカフカの土へと復活させる効果もあります。
ク溶性リン酸のため、土の中で固定化される心配がなく、長く効果が持続します。
元肥におすすめの肥料です。

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最後までご覧いただきありがとうございました✨
ぜひ、肥料選びのヒントにしてみてくださいね!