2023.10.20 園芸のこと
意外と知らない!園芸用土のあれこれ その2
ガーデニングを始めるときに、なくてはならないものの一つが「園芸用土」
前回は、赤玉土や鹿沼土などの「基本用土」について解説をしました!
「その2」の今回は、腐葉土やピートモスなどの「補助用土(改良用土)」について解説します!
補助用土って?
園芸用土は、主に基本用土、補助用土(改良用土)、培養土の3種類に分けられます。
その中で、「補助用土」とは基本用土をより良くするための土のことをいいます。
保水性や通気性、保肥性などを高めることができます!
補助用土の種類
腐葉土
腐葉土とは、落ち葉や枝などが発酵して土になったものをいいます。
自然の中では、ミミズやバクテリアなどの生き物が、1~2年の長い時間をかけて腐葉土を作っています。
一般的に販売されている腐葉土は、短期間で人工的に作られたものがほとんどです。
秋にでた枯れ葉を集めて、家庭で手作りすることもできます!
腐葉土の良いところ
- 通気性と排水性が良くなる
腐葉土の原料である枯れ葉や枝が、土の中に「すき間」を作ってくれます。
この「すき間」が生まれることで水や空気の通りが良くなり、通気性と排水性がアップします。 - 土壌中の微生物の働きを活性化!
腐葉土の原料である枯れ葉などは、土の中にいる微生物の栄養になるため微生物の働きが活発になります。
そうすると、枯れ葉や落ち葉などの有機質のものを微生物がドンドン分解し、植物が育ちやすい「ふかふか」の土へと変えてくれます。 - マルチング剤にもできる
腐葉土は、乾燥や寒さ対策としても役立ちます!
土の表面を3~4cmほど、腐葉土で覆うことで冷風や雪などを遮断してくれるため、保温効果や寒波によって根が傷むのを防ぐ効果があります。
💡腐葉土は「完熟」を選ぼう!
腐葉土の中には、完全に発酵が終わっていない「未熟」と呼ばれるものがあります。
こうした腐葉土を使うと、土の中で発酵が続いて、根を傷めるガスが発生することもあるため、できるだけ「完熟」と表記のある腐葉土を選ぶようにしましょう!
堆肥
堆肥とは、落ち葉や稲わら、家畜のフンなどを微生物の力で発酵、分解させたもののことをいいます。
土壌改良材として土に混ぜれば「ふかふか」な土ができたり、元肥として土に混ぜれば野菜や果物の食味をアップさせたり、堆肥を使えば良いことたくさんです!
堆肥は、落ち葉や稲わらなどの植物を材料とした「植物性堆肥」と、牛や豚などのフンを材料とした「動物性堆肥」の大きく2つに分けられます。
腐葉土はこの植物性堆肥に分類されます。
ピートモス
植物が長い時間をかけて腐植し、泥岩(ピート)となったものを乾燥させて細かく砕いたものをいいます。
主に水苔や柳などのコケ類の植物を原料としています。
💡腐植?腐食?
「腐植」とは、土の中で植物などの有機物が微生物の力によって分解されてできたもののことをいいます。
一方、「腐食」とは錆びたり腐ったりすることで元の形を維持できなくなることをいいます。
「腐食」は「腐る」とほぼ同じ意味合いです。
ピートモスはこんな土!
- 強い酸性
ピートモスは酸度の強い「フミン酸(腐植酸)」という酸を持ちます。
酸度(pH)は3〜4ほどで、ピートモスを混ぜることで酸性の土を作ることができます!
酸性を好む、ブルーベリーやツツジなどと相性が良い土です。 - 保水性・保肥性・通気性をUPできる!
ピートモスは原料がコケ類のため、吸水性や保水性に優れています。
そんなピートモスを混ぜることによって、土全体の保水性や保肥性が高まります!
また、腐葉土と同じように繊維質を多く含んでいるため、土の中に「すき間」が生まれ、通気性もアップします。 - 軽くて、清潔!
ピートモスは、とても軽い用土のためハンギングの土として使うのもおすすめです!
また、原料をしっかりと洗浄してから乾燥・加工されているものがほとんどなので清潔です。
室内で植物を育てる場合の用土としてもぴったりです。
💡「調整」「未・無調整」をしっかりチェック!
ピートモスには「調整ピートモス」と「未・無調整ピートモス」とがあります。
調整ピートモスは、パーライトやバーミキュライトなどを一緒に混ぜ込んでpHを調整しているものをいいます。
pHが中性よりに調整されているため、そのまま使用することができます。
一方で、未・無調整ピートモスは酸度調整がされていないため、pHは3〜4と酸性を示します。
土の保水性や通気性を上げつつ、酸性にもしたい!という方には未・無調整のピートモスがおすすめです!
ピートモスの使い方
- 必ず、使用前に水を十分含ませましょう!
ピートモスは乾燥した状態で売られていることがほとんど。使用前には必ず、十分に水を含ませるようにしましょう。
バケツなどにピートモスを入れて、しばらく放置しておくとGoodです!
事前に水を吸わせておかないと、他の土と混ぜ合わせて使う際に上手く水を吸ってくれない場合があるので注意が必要です。
また、乾燥しすぎてしまうと水を弾くようになり、保水性や吸水性が悪くなってしまいます。
一度乾燥してしまったピートモスは、水につけても保水性や吸水性は元に戻らないので、管理にも注意が必要です。 - 使用する割合
植え込む植物にもよりますが、土全体の1〜5割程度の割合で混ぜ込みます。
酸度調整をする場合は、簡易酸度計などを使いながら少しずつ調整します。
パーライト
パーライトは、マグマが固まってできたガラス質の火山岩を、高温で加熱して膨張・発泡させたものです。
急激に熱することで水分が蒸発し気体になるため、パーライト自体にはたくさんの穴が空いています。
保温性や断熱性、耐火性が高いことから、園芸だけでなく建築材料としても使われています。
パーライトの種類
パーライトは、「真珠岩パーライト」と「黒曜石パーライト」の2種類に分けられます。
2種類とも、とても軽いという特徴は一緒ですが、保水性や排水性に少し違いがあります。
- 真珠岩パーライト
その名の通り、「真珠岩」を原料としたパーライトで、保水性が高いのが特徴です。
真珠岩は、もともと水分を多く含んでいる岩石で、それを高温で熱することによって、表面から内部までたくさんの気泡ができます。
この穴にたくさんの水分を保つことができるため、真珠岩パーライトを混ぜ込むことで保水性を良くしてくれます。
また、水持ちの良い土には肥料成分も貯めておくことができるため、保肥性もアップします。 - 黒曜石パーライト
「黒曜石」を原料としたパーライトで、通気性と排水性が高いのが特徴です。
真珠岩と同様に、黒曜石も高温で熱して内部にたくさんの空洞を作りますが、表面にはほとんど穴が空かずツルツルとしています。
そのため、粒の中に水分が染み込みにくく、空気をよく通してくれます。
黒曜石パーライトを混ぜ込むことで、水はけが良くなり根腐れの防止にも効果があります!
また、大粒のパーライトは排水性の良い鉢底石としても活用できます。
💡バーミキュライトとパーライトの使い分け
バーミキュライトとパーライトは、どちらも無菌であるため、種まき用や挿し木用として使うのがオススメです。
ただ、挿し木は水切れをしないように管理する必要があるため、保水性の高いバーミキュライトを選ぶと良いです!
一般的な種まきや挿し木には「バーミキュライト」
とにかく水はけを良くしたい時には、「黒曜石パーライト」
保水性や保肥性を高めたい時には「真珠岩パーライト」と覚えておくとGoodです!
パーライトの使い方
土壌改良材として使う場合は、土全体に対して1~2割の割合で混ぜ込みます。
挿し木に使う場合は、パーライト単体でも問題ないですが、挿し木が安定しない時には赤玉土などを混ぜて使用するのがオススメです。
バーミキュライト
苦土蛭石(くどひるいし)という鉱物を加熱してふくらませ、細かく砕いたものがバーミキュライトです。
日本や中国、南アフリカ、オーストラリアなどで採取されています。
バーミキュライトはこんな土!
- 保水性と排水性のバランスが良い!
バーミキュライトは、薄い層が重なったような蛇腹状の構造をしていて、そのすき間にたくさんの水分を含むことができます。
体積の25〜30%もの水分を吸収することができるため、水もちを良くし、溶け込んだ肥料を中に保っておくこともできます。
一方で、そのすき間から余分な水分や空気を通してくれるため、水はけが悪く、酸素不足になってしまった土に混ぜ込むことで土の排水性を改善することができます。 - 断熱性と保温性がある!
バーミキュライトは表面にたくさんの穴があいていて、そこに空気がたくさん含まれています。
その空気が外からの熱を遮断し、土の中に熱を保ちやすくしてくれます。
また、空気の層が外のひんやりとした冷気から守ってくれるため、土の中が冷たくなるのを防いでくれます。
バーミキュライトを混ぜることで、真夏は土の温度が上がりにくく、冬は下がりにくくなるので、植物の根っこへのダメージを抑えることができます。 - 軽くて、無菌
たくさん空気を含んでいるバーミキュライトは、とても軽く、普通の土の約10分の1ほどの重さです。
ハンギング用の土としてもおすすめです。
また、無菌で中性なので、菌に弱い挿し木や苗床としても向いています。
バーミキュライトの使い方
バーミキュライトは腐葉土や堆肥などと混ぜて使用します。
土全体に対して、2割くらいの分量を混ぜ合わせます。
.
.
最後までご覧いただきありがとうございました✨
今回は、補助用土の中でも使われることの多い、5種類の用土についてご紹介しました。
それぞれの性質を知ったうえで、植える植物との相性や利用する目的を考えて選ぶことが大切です!