2024.02.25 園芸のこと
オリーブを育てよう! 病害虫に負けるな編
病害虫には比較的強いオリーブの木ですが、気づかずに放っておくと枯れてしまうことも…。
まずは、日ごろからよく観察してあげることが大切ですが、予防や対策を知っておくと安心です。
オリーブのことが大好きな害虫は、結構パワフル!要注意です。
もくじ
1.オリーブの2大害虫
-オリーブアナアキゾウムシ
-コガネムシ
2.こんな虫にも要注意!
3.オリーブの病気
1.オリーブの2大害虫
オリーブの2大害虫と呼ばれているのが「オリーブアナアキゾウムシ」と「コガネムシの幼虫」です。
大きく育ったオリーブでも枯らしてしまうほど、パワフルなやつら。
元気なオリーブを育てるためにも、特徴と対策を知っておきましょう!
オリーブアナアキゾウムシ
特徴
オリーブのことが大好きなオリーブアナアキゾウムシは、もっとも被害の多い害虫です。
成虫が幹に産卵し、幼虫が幹の内部を食い荒らしてしまいます。
成虫の体長は15mmほどで、カブトムシのように黒褐色の甲羅をもちます。
頭に、ゾウの鼻のようなカタチをした突起があるのが特徴で、幹の中でサナギになり2カ月ほどで成虫になります。
成虫の寿命は、3~4年ほど。
オリーブの樹皮とそっくりな見た目をしているので、ついつい見落としてしまいがちな厄介なやつです。
発生時期
3月下旬ころに越冬状態から目覚め、4月下旬ころから活発に活動し始めます。
11月下旬ころまで、暖かい季節は休まず活動し続け、冬の寒い時期は株元の樹皮の下や枯れ枝の下で冬を越します。
産卵をする、4月~10月の期間中は、1日に1~2個ずつ食害した樹皮の傷口に卵を産みます。
産み付けられた卵は、10日ほどでかえり、2カ月ほどで成虫になります。
そのため、卵を産む成虫と幼虫、新しく成虫になったものが混在する8月~10月は、特に活発に活動する時期になります。
これが、目印!
幹のまわりにオガクズ状の木くずが落ちていたり、オリーブの木肌がボコボコと荒れていたりしたら、オリーブアナアキゾウムシがいる可能性大です。
すぐに異変に気が付けるように、日ごろからよく観察しておくことが大切です!
予防と対策
- 株元をきれいに保つ
成虫は、株元の樹皮の下や枯れ枝の下で冬を越すので、株元をスッキリきれいに保っておくことが大切です。
雑草もこまめに抜いて、株元の土の表面がいつもきれいに見えているようにしておきましょう。
そうすることで、食害の目印であるオガクズ状の木くずが出ていることが目に付きやすく、早めに手を打つことができます。 - 見つけ次第、捕殺する
株元の地面近くに潜んでいたり、枝の分岐部分にとまっていたりするので、よく観察をし見つけ次第、捕殺します。
成虫は夜行性なので、昼の間は根元にある落ち葉の陰などでじっとしています。
木肌がボコボコしていたら、その樹皮をマイナスドライバーなどでかきとり、幼虫が出てきたら捕殺しましょう。
- 薬剤を散布する
オリーブアナアキゾウムシの予防と駆除におすすめなのが、アディオン水和剤やダントツ水溶剤、スミチオン乳剤などです。
4月、6月、8月の散布が効果的!涼しい朝夕の時間帯に散布をしましょう。
スミチオン乳剤は、幹にのみ散布。
アディオン水和剤とダントツ水溶剤は、木全体に散布します。
品名 | 希釈倍率 | 使用時期 | 総使用回数 |
---|---|---|---|
アディオン水和剤 | (実)2000倍 | 収穫7日前まで | 2回以内 |
ダントツ水溶剤 | (実)2000~4000倍 (葉)4000倍 | (実)収穫前日まで (葉)収穫120日前まで | 2回以内 |
スミチオン乳剤 | 50倍 ※樹幹散布 | 収穫120日前まで | 3回以内 |
ベニカ ベジフルスプレー | そのまま | 収穫前日まで | 2回以内 |
コガネムシ
特徴
悪さをするのは、コガネムシの幼虫。
体長1~3cmほどで、冬の間に土の中でオリーブの根っこを食べてしまいます。
成虫は飛んで移動するので、ベランダに置いたオリーブの鉢の中にも産卵することがあるので要注意です!
発生時期
成虫が出てくるのは、5月~9月ころ。
土の中に産卵し、ふ化した幼虫は土の中で根っこを食べながら冬を越します。
気温が上がってくると、成虫になって外へ出てきます。
これが、目印!
・葉が変色する、落葉する
・根っこがグラグラする
・急に土がフカフカになる
・植物が成長しない
・新芽がしおれる
・鉢底から細かい土が落ちて、土の量が減る
このような症状が見られたら、コガネムシの幼虫が悪さをしているかもしれません。
見逃すなかれ!です!
予防と対策
- 見つけて捕殺!すぐに植え替える
「もしかして…?」と思ったら、オリーブの木を掘り起こしたり鉢から取り出したりして、根の状態と幼虫がいるかを確認しましょう。
根っこが食べ尽くされていて、幼虫が出てきたら、犯人はコガネムシの幼虫です。
被害を見つけたら、植え替えに適さない時期であっても、すぐに新しい土に植え替えます。
根っこがなくなってしまった分、上部も剪定して根っこと葉の量のバランスをとる必要があります。水も十分に吸えないので葉から水の蒸散を抑える意味でも直射日光は避け、半日陰~日陰で養生をします。
ロープなどで鉢と幹を固定し密着度をアップさせましょう。
2. こんな虫にも要注意!
あなどるなかれな害虫は、オリーブアナアキゾウムシやコガネムシの他にも存在します。
スズメガの幼虫
特徴
体調7~9cmにもなる、ビッグなイモムシ。6月~10月ころに発生します。
大量に発生することはありませんが、身体が大きい分、大食いなので葉をどんどん食べ尽くしてしまいます。
枝を何本も裸にし、苗の生長が遅れてしまうほどの大きなダメージを受けます。
こいつは見逃し厳禁です!
これが、目印!
黒くて、コロコロとしたフンが目印です。
身体が大きくなればなるほど、フンも大きくなります。
株元にフンを見つけたら、幼虫を探してみてください。
ただ、オリーブの葉と同化しやすい色なので、なかなか見つけられないことも…。
見つからないときは、木を揺すってみて、揺れの大きい木があればそこにいるはずです。
スズメガの幼虫は大きくて重いので、そこだけ揺れが大きくなります。
対策
薬剤散布よりも、とにかく見つけたら捕殺をします。
割りばしでつまんで、取り除きましょう。
身体が大きくなってくると薬剤も効かなくなるため、捕殺がいちばんです。
ハマキムシ
特徴
体長1~2cmほどの小さめな幼虫です。
4月~11月にかけて繰り返し発生し、1年の中で秋の活動がもっとも活発になります。
白い綿状の糸で、葉巻のように葉を巻いたり、数枚の葉をつづり合わせたりして、その中に入って新芽を食べます。
他にも実に穴をあけて、中に入り込んで食害をします。
新芽を好んで食べるグルメなやつなので、枝先にいることが多いです。
これが、目印!
葉が巻かれていたり、数枚の葉がつづり合っていたり、実に穴があいていたりしたらハマキムシがいるサイン。
その他に、0.1mm程度の黒いフンがあったりもします。
対策
ハマキムシが潜んでいそうな葉が付いている枝は切り取ります。
薬剤を散布する場合は、デルフィン顆粒水和剤がオススメ!
品名 | 希釈倍率 | 使用時期 | 総使用回数 |
---|---|---|---|
デルフィン顆粒水和剤 | 2000倍 | 発生初期ただし、 収穫前日まで | ― |
テッポウムシ
特徴
テッポウムシは、カミキリムシ、コウモリガの幼虫で体長は5~6cmほど。
毎年、6月~10月ころに発生します。
オリーブの木の内部を食害し、その時に幹にできる穴が鉄砲の玉が貫通したように見えることから「テッポウムシ」と呼ばれています。
幼虫が樹の内部をどんどん食べ、落ち葉や枝枯れ、ひどい場合は樹が枯れて死んでしまうこともある厄介なやつです。
これが、目印!
オリーブの幹に穴があいていたり、大きめの木くずが出ていたりするとテッポウムシの可能性が高いです。
対策
穴の中を針がねでついてみて、見つけ次第捕殺します。
薬剤散布におすすめなのが、住友化学園芸の『園芸用キンチョール E』。穴の中にノズルを入れて噴射するだけで、テッポウムシを駆除することができます。
駆除した後は、穴を保護することも大切!
穴あきをそのままにしておくと、害虫やアリが寄生したり、腐朽菌(ふきゅうきん)による腐れが発生したりなどの二次被害を及ぼします。
そんな二次被害からオリーブを守るのにオススメなのが『テッポーダン』です。
テッポーダン粒を穴に入れ、テッポーダンチューブで密封することで穴を清潔に保ち、オリーブを守ってくれます。
3. オリーブの病気
害虫だけでなく、病気にも注意が必要です。
対応が遅れてしまうと、1本のオリーブだけではなく圃場全体のオリーブがダメになってしまう、なんてことも…。
病気の原因と症状を知り、早め早めに対処できるようにしておくと安心です。
炭疽病(たんそびょう)
原因と症状
炭疽病の原因は、糸状菌というカビの一種です。
オリーブの中でも、マンザニロやアザパなど比較的大きな実を付ける品種に発生しやすい病気。
果実に黒っぽい斑点ができ、次第に広がっていきます。やがて、実がシワシワになったり、しぼんだりと不規則な形に変形していきます。
病原菌であるカビの胞子は、水やりの際に飛び散る水滴や雨によって周りに飛散し、伝染していきます。
💡Point!
「炭疽病になってしまわないか心配!」という方は、耐病性のある品種を選ぶのがオススメ!
フラントイオやピクアル、レッチーノは炭疽病に比較的強いと言われている品種です。
発生時期
果実が熟す、7月~11月ころから症状がでてきます。
気温と湿度が高いと胞子が発生しやすいので、特に気温が20℃を超える蒸し暑い時期は注意して観察しておくことが大切です!
対策
まず、病気になってしまった実は早めに取り除き、落ちている実も拾って処分します。
病気を広げないことが何より大切です。
予防策としては、とにかく風通しを良くして元気に育てることがいちばん!
蒸れると発生しやすい病気なので、枯れ枝や弱った枝などを剪定して風通しの良い状態をキープしましょう。
肥料のチッ素分を控えて、水はけを良くするのも有効です。
薬剤散布でオススメなのは『アミスター10フロアブル』
炭疽病が発生して、枝先がダメになってしまうと梢枯病(しょうこびょう)の病原菌が侵入しやすくなり、さらに症状が悪化してしまう恐れがあります。
炭疽病の発生時に、アミスター10フロアブルを散布しておくことで、梢枯病の予防にも効果が期待できます。
品名 | 希釈倍率 | 使用時期 | 総使用回数 |
---|---|---|---|
アミスター10フロアブル | 1000倍 | 収穫30日前まで | 2回以内 |
梢枯病(しょうこびょう)
原因と症状
炭疽病と同様に、梢枯病の原因も糸状菌と呼ばれるカビの一種です。
そのカビが枝先に入ることで発症します。
枝の先が、50~100cmくらいにわたって茶色に変色して葉が落ち、次第に枝全体の葉が枯れ落ちてしまいます。
水不足による枯れの場合は、葉が緑色のまま両端が裏側へ丸まり、徐々に茶色く枯れていきますが、梢枯病の場合はいっきに茶色くなります。
炭疽病によって枝先が弱くなっているところから、梢枯病の菌が入り込みやすいのでまとめて対策をすると効率が良いです!
発生時期
5月~10月頃に発生します。
梅雨や秋の長雨のときに多く見られます。
対策
枯れてしまった枝先をすべて剪定して、処分します。
発症部分と健康な部分との境目から、2~3cmほど下を目安に切り落とします。
発症部分ギリギリで切り落としてしまうと、見えない菌が残っている可能性があるので注意が必要です!
切り落とした部分は、その場に放置せず離れた場所に処分するようにしましょう。
枝を切ったあとは『トップジンM水和剤』などの殺菌剤を塗ります。
殺菌作用だけではなく、切り口の保護にもつながります。
品名 | 希釈倍率 | 使用時期 | 総使用回数 |
---|---|---|---|
トップジンM水和剤 | 1000倍 | 収穫30日前まで | 2回以内 |
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最後までご覧いただきありがとうございました!
あたたかくなり始め、病害虫の危険も高まってくる季節。
オリーブを元気に、ながぁ~く育てるためにも、まずは日ごろからよく見てあげることが何より大切です。