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2024.02.04 園芸のこと

オリーブを育てよう!品種を選ぶ編

住宅のお庭はもちろん、カフェやレストランなど、街のあちこちで見かける人気のオリーブ。
どんな場所にも馴染みやすく、その場所をよりいっそう魅力的なものにしてくれます!
「オリーブを育ててみたいけど、どの品種が良いのかわからない…。」
そんな方に向けて、今回は、目的別におすすめの品種をご紹介いたします。

もくじ

1. オリーブってこんな木
2. オリーブ品種図鑑
 - 初心者さんにおすすめ
 - 寒さに強い
 - 1本でも実を付ける
 - シンボルツリーにおすすめ
 - 食べて美味しい
3. 品種まとめ

1. オリーブってこんな木

オリーブの原産地は、ギリシャやトルコなどがある地中海地方。
太陽と温暖な気候、水はけの良い土壌が大好きな植物です。
荒地でも育つと言われているオリーブは、その生命力の強さから繁栄や平和の象徴として用いられてきました。
ギリシャのクレタ島には、樹齢約5000年の世界最古のオリーブがあるというから驚きです。

基本データ

  • 植物名:オリーブ
  • 科属名:モクセイ科 オリーブ属
  • 形態:中高木
  • 開花期:5~ 6月
    ※ 品種によって「早い・遅い」があります。
  • 花色:ミルク色 直径5mmほど
  • 耐寒性:普通
  • 耐暑性:強い

『直立型』と『開帳型』

オリーブの品種は、その樹形によって『直立型』と『開帳型』の、大きく2つに分類されます。

  • 直立型
    上に向かって伸びる樹形。
    すらっと伸びてコンパクトに生長するため、マンションのベランダなどの狭いスペースでも育てやすいタイプです。
  • 開帳型
    枝が横に張り出して伸びる樹形。
    ダイナミックに広がって育ち、存在感抜群な品種も多いため、お庭のシンボルツリーや目隠しなどにもオススメです。
    広がった枝葉を自分の好みの形に剪定できるのも楽しいですよ。

※ 開帳型と直立型とのあいだ『半直立型』のものもあります。

2. オリーブ品種図鑑

オリーブは世界中に、約1500以上の品種があるといわれています。
目的に合わせた、あなたにぴったりのオリーブを見つけてみてくださいね。

データの見方
・果実(直径)
 小:1~2cm 中: 2~3cm 大:3~4cm 特大:4cm以上
・開花時期は、関東標準です。
・自家結実性
 「あり」のものは、1本でも実を付けやすい
 ※ 自家結実性がある品種も、2品種以上を植えた方が安定して実が付きます。

初心者さんにおすすめ!

シプレッシーノ

  • 原産地:イタリア
  • 樹形:直立型
  • 果実:小~中
  • 開花時期:5月中旬頃
  • 自家結実性:あり
  • 用途:オイル
  • 授粉樹:ミッション、ルッカ、ネバディロ・ブランコ

シプレッシーノは、数百年も育ち続けるという長寿な品種です。
病気や気候の変化にも強く、初心者さんでも育てやすいのが魅力的。
直立型で枝葉のまとまりが良いため、剪定しやすいのも嬉しいポイント!
シプレッシーノの実で作ったオリーブオイルは、少しスパイシーな味わいです。

ネバディロ・ブランコ

  • 原産地:スペイン
  • 樹形:開帳型
  • 果実:小~中
  • 開花時期:5月中旬頃
  • 自家結実性:なし
  • 用途:オイル
  • 授粉樹:ミッション、マンザニロ
    ※ ルッカとの相性は、あまり良くないです。

耐寒性が強く、枝葉もよく茂り剪定しやすいので街路樹や生垣にもオススメの品種です。
また、葉が、他の品種と比べて柔らかくて薄いので、フサフサ感もたのしめます。
花が多く咲く分、花粉の量も多いので授粉樹としても活躍します。
ただ、花をつける樹齢になるまでは長い時間がかかるため、小さな苗木の場合は、買ってすぐに授粉樹として使うのが難しいです。
スペインでは、オイル用としてもっとも一般的な品種です。

ミッション

  • 原産地:アメリカ合衆国
  • 樹形:直立型
  • 果実:中
  • 開花時期:5月中旬頃
  • 自家結実性:なし
  • 用途:オイル、ピクルス、新漬けなど
  • 授粉樹:ルッカ、ネバディロ・ブランコ
    ※ マンザニロとの相性は、あまり良くないです。

枝葉を横に広げず、自然と真っ直ぐ上に伸びていくため、こまめに剪定をしなくても綺麗な直立型の樹形に育ちます。
コンテナ栽培でも鉢植えでも、場所を選ばず育てやすいのも嬉しいポイント。
生育旺盛で寒さにも強いので、初心者さんでも始めやすい品種です。
ミッションの葉は裏面が白く、風が吹くとキラキラと輝くのも魅力的。
すこしピリッとした良質なオイルがとれます。

寒さに強い

レッチーノ

  • 原産地:イタリア
  • 樹形:開帳型
  • 果実:小~中
  • 開花時期:5月下旬頃
  • 自家結実性:なし
  • 用途:オイル、ピクルス
  • 授粉樹:モライオロ、ペンドリノ、フラントイオなど

生長スピードが早く、大きな木に育つレッチーノ。
寒さ、暑さ、乾燥に強く気候の変化にも順応しやすい、とても育てやすい品種です。
一時的であれば、-10℃ほどの寒さまでは耐えられるといわれています。
さらに、炭そ病などの病気にもなりにくいので、初心者さんでも安心して育てることができます。
オイルにしてもピクルスにしても美味しい実がなります。

フラントイオ

  • 原産地:イタリア
  • 樹形:開帳型
  • 果実:中
  • 開花時期:5月中旬頃
  • 自家結実性:なし
  • 用途:オイル
  • 授粉樹:レッチーノ

レッチーノと同様に、一時的であれば最低気温が-10℃までの地域でも育つ、寒さにとても強いオリーブです。
気候の変化などにも適応しやすいため、今では多くの国々で栽培されているポピュラーな品種です。
大きくなろうとする勢いが強く、さまざまな病気にも強いため育てやすいのも魅力的。
ただ、樹勢が強い反面、樹形が暴れてしまいがちなので、こまめな剪定が必要です。
オイルはスパイシーな味わいです。

ルッカ

  • 原産地:アメリカ
  • 樹形:開帳型
  • 果実:小~中
  • 開花時期:5月中旬頃
  • 自家結実性:あり
  • 用途:オイル
  • 授粉樹:ミッション、マンザニロ、ネバディロ・ブランコなど

ルッカは、香川県の小豆島を中心に日本で最も多く栽培されている品種のひとつです。
病気や寒さに強く、大きくなろうとする勢いも強いので、とても育てやすいオリーブです。
自家結実性をもっているので、1本でも比較的実を付けやすいのも嬉しいポイント。
生長が早く、どっしりとした大木になります。存在感のあるダイナミックな樹形がシンボルツリーとしてもオススメです。
大きくならないと実を付けにくい特徴があるため、地植えでの栽培が吉。

1本でも実を付ける

アルベッキーナ

  • 原産地:スペイン
  • 樹形:開帳型
  • 果実:小
  • 開花時期:5月初旬頃
  • 自家結実性:あり
  • 用途:オイル
  • 授粉樹:コロネイキ

高品質なオイルがとれる、アルベッキーナ。
自家結実性をもっているので、1本でも実をつけます。
木が若い時から、たくさんの花をつけるので授粉樹としても大活躍!
重さ1~2gほどの小さな丸い実を、枝が垂れ下がってしまうほど、鈴なりにたくさんつけます。

ピクアル

  • 原産地:スペイン
  • 樹形:開帳型
  • 果実:中~大
  • 開花時期:5月中旬頃
  • 自家結実性:あり
  • 用途:オイル、新漬け
  • 授粉樹:マンザニロ、アルベッキーナ

スペインでつくられているオリーブオイルの主力品種である、ピクアル。
丈夫で病気に強く、気候の変化や土壌の変化にも適応しやすいので、とても育てやすい品種です。
ただ、寒さに弱いため寒い地域での栽培は難しいです。
フルーティーながら、スパイシーな味わいも持つ美味しいオリーブオイルが楽しめます。

その他

・ルッカ
・オヒブランカ
・バロウニ
・タジャスカ(少しあり)
・アザパ(少しあり)

シンボルツリーにおすすめ

  • ルッカ
    病気や寒さに強く、早いスピードで大きくなっていくので地植えがぴったりです。
    存在感のあるダイナミックな樹形と、濃い緑色の葉がシンボルツリーにはもってこいの品種です。
    (『寒さに強い品種』の項目で詳しく紹介しています。)
  • ミッション
    生育旺盛で寒さも強いミッション。
    葉の裏面が白いため、風の中でキラキラと輝きます。
    ずっと見ていたくなる美しさはシンボルツリーにぴったりです。
    (『初心者さんにおすすめ』の項目で詳しく紹介しています。)
  • レッチーノ
    生長スピードが早く、大きな木に育つレッチーノ。
    乾燥、寒さ、暑さに強く、病気にも強いので地植えでも安心して育てることができます。
    (『寒さに強い品種』の項目で詳しく紹介しています。)

食べて美味しい

カラマタ

  • 原産地:ギリシャ
  • 樹形:直立型
  • 果実:大
  • 開花時期:5月中旬頃
  • 自家結実性:なし
  • 用途:オイル、メープルシロップ漬け

黒く熟したカラマタの実はそのまま食べられるくらい苦味が少なく、塩漬けやメープルシロップ漬けにすると柔らかくフルーティーでとても美味しいです。
パンやチーズとの相性がよく、ヨーロッパでは高級品として人気が高いオリーブです。
直立型の樹形で、真っ直ぐ上に育っていくので狭いスペースでも育てやすいのも魅力的。

ハーディズマンモス

  • 原産地:オーストラリア
  • 樹形:開帳型
  • 果実:大
  • 開花時期:5月中旬頃
  • 自家結実性:なし
  • 用途:メープルシロップ漬け

大きな果実はオリーブ特有の渋みや苦味が少なく、フルーティーな香りがします。
あく抜きをしなくても、メープルシロップ漬けなどでとても美味しく食べられます。
丈夫で病気に強く、耐寒性もあるので比較的育てやすい品種です。

ピクアルも、美味しい品種のひとつ!
ルーティーながら、スパイシーな味わいも持つ美味しいオリーブオイルが楽しめます。

3. オリーブの品種まとめ

※『テーブル』:実を食品として加工したテーブルオリーブとしての利用を示します。

品種名樹形果実耐寒性用途
アイセブンセブン開帳型中~大オイル・テーブル
アザパ開帳型大~特大テーブル
アスコラーナ直立型テーブル
アルベッキーナ開帳型オイル
オヒブランカ直立型中~大オイル・テーブル
カヨンヌ開帳型中~大オイル・テーブル
カラマタ直立型オイル・テーブル
コラティーナ開帳型オイル
コレッジョラ開帳型オイル
コロネイキ開帳型オイル
サウスオーストラリアンベルダル開帳型テーブル
シプレッシーノ直立型小~中オイル
タジャスカ下垂型小~中×オイル
ドマット開帳型特大テーブル
ネバディロ・ブランコ開帳型オイル
ハーディズマンモス開帳型テーブル
バロウニ開帳型特大テーブル
ピクアル開帳型中~大×オイル・テーブル
マンザニロ開帳型中~大テーブル
ミッション直立型オイル・テーブル
ルッカ開帳型小~中オイル
レッチーノ開帳型中~大オイル・テーブル

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最後までご覧いただきありがとうございます!
もうすぐ春の園芸シーズン。今年は、オリーブ栽培に挑戦してみてはいかがでしょうか?

参考資料
・岡井路子『よくわかる栽培12か月 オリーブ』-NHK趣味の園芸
・岡井路子『育てる・食べる・飾る まるごと楽しむ オリーブの本』-主婦の友社