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2024.01.23 農業のこと

マルチを知ろう!-農業編-

1月も終盤に差しかかり、春の農園芸シーズンに向けていろいろ準備を進めたいところ…。
今回は、農業にはかかせない資材「農業用マルチ」について、その役割や種類、特徴などを解説いたします!

1. 良いことたくさん!マルチの役割

実は、畝にマルチを張ると良い効果がたくさんあります!

  • 雑草が生えるのを防ぐ
    マルチの色によっては、雑草の生長に必要な光を遮断することができるので、雑草が発芽したり生長したりするのを防いでくれます。
  • 土壌の温度をコントロールできる
    マルチを張ることで、土の温度を上昇させたり、逆に上がりすぎを防いだりすることができます。
    マルチの色によって効果の大きさは様々なので、季節や作物などに合わせて選ぶことが大切です。
  • 土壌の水分を適度に保つ
    畝から水分が蒸発するのを防ぐ効果もあります。
    土がある程度、保湿された状態になるので水やりの頻度を減らすことができます。
  • 土壌の硬化、肥料成分の流亡(りゅうぼう)を防ぐ
    実は、雨粒が地面に当たると、その衝撃で土は少しずつ硬くなっていきます。
    マルチを張ることで、土が硬くなるのを防いで柔らかい土のままで保たれるので、作物の根が張りやすくなります。
    また、土壌に雨水が染み込まなくなるため、肥料成分が雨水と一緒に流れ出るのを防ぐこともできます。
  • 病気の発生や拡大を防ぐ
    病気の発生や拡大の原因のひとつが、泥はねや水はねです。
    マルチで畝を覆うことで、泥はね・水はね防止になり、病気の発生や拡大を防ぐことができます。

2. 色で使い分けよう!

最もよく使われているのは黒色のマルチですが、その他にも様々な色があります。
色によって、地温上昇や雑草の抑制などの効果に差があるため、それぞれの特徴を知ったうえで、育てる作物や季節に合わせて選びましょう!

黒色

雑草の抑制と地温の安定に効果があります。
太陽の光を遮るので、畝の中に光が入りにくく、雑草が生えるのを防いでくれます。
黒色なので夏場はすごく熱くなってしまうイメージですが、そんなことはありません!
マルチ自体は熱くなりますが、土の温度の上昇は防ぐことができます。
ただ、葉焼けには注意が必要です。

透明

いろんな色の中で、地温上昇効果が最も高いマルチです。
透明なので光をよく通し、土が温まりやすいのです!
冬~春のはじめの、気温が低い季節に使うことで野菜の生育を早める効果もあります。
ただ、光をよく通す分、雑草を抑制する効果はあまり期待できません。
夏場は地温が上がりすぎてしまうため、マルチの上に敷きワラをするなどの工夫が必要です。

緑(グリーン)

黒色と透明の、中間的な性質を持っているマルチです。
地温上昇効果は「透明 > グリーン > 黒色」と、黒色より高い効果を発揮します。
雑草抑制効果は「黒色 > グリーン > 透明」で、透明のものより高い効果が期待できます。

銀(シルバー)

地温が上がりすぎるのを防ぐだけでなく、害虫よけにも効果があります。
光の反射を嫌うアザミウマ類やアブラムシなどを寄せ付けづらいので、農薬の量を減らすことにも役立ちます。
地温の上昇を抑える効果もありますが、黒色マルチに比べると効果はひかえめです。

白黒

他の色のマルチと比べ、地温の上昇を抑える効果が最も高いです。
表面の白色が光を反射し、裏面の黒色が光を遮断するため、ダブルの効果で地温の上昇を抑えます。
裏面が黒いので、雑草が生えるのを防ぐ効果も高いです。

銀黒

表面が銀色、裏面が黒色のマルチです。
表面を銀色にすることで、太陽の光を反射し、アザミウマやアブラムシなどの害虫が付くのを防いだり、地温の上昇を抑えたりする効果があります。
また、裏面の黒色が光を遮断し、雑草が生えるのも防いでくれます。

3. ホールマルチ「数字」の見方

マルチの中には「ホールマルチ」といって、マルチシートに決まった間隔や大きさであらかじめ穴があけられているものがあります。
穴をあける手間が省けるので、広い面積で同じ作物を育てる農家さんや家庭菜園初心者さんにオススメの資材です。
そんなホールマルチの包装紙には、「9515」や「3330」のように4ケタの数字が記載されていることがあります。
では、この数字は何を表しているのでしょうか…?
解説していきます!

「規格」を表す4ケタ

4ケタの数字は、ホールマルチの穴の数や間隔などの規格を表しているのです!

  1. マルチの幅の広さを表す
    幅の十の位の数字で、主に「9」と「3」があります。
    「9」の場合はシートの幅が95cm、「3」の場合は135cmを表しています。

    💡ここでワンポイント!
    マルチのサイズを選ぶ際は、畑の畝幅より少し幅の広いものを選ぶようにしましょう!
    マルチは表面だけでなく、畝全体を覆うようにして張るためです。
    例えば、畝の幅が80~100cmほどの場合、135cm幅のマルチがおすすめです。
  2. 1列あたりの穴の数を表す
    「5」の場合は、1列に5つの穴があいていて、「3」の場合は、3つの穴があいていることを表しています。
  3. 穴と穴の間隔を表す
    「15」の場合は穴と穴の間隔が15cm、「30」の場合は30cmごとに穴があいているということになります。

例:「9515」の場合
幅95cmのマルチシートに、5列の穴が15cm間隔であいているホールマルチという意味になります。
育てる作物に適した規格のマルチを選ぶことが大切です!

これも知っておこう!

穴の大きさを表す「小・中・大」

4ケタの数字の近くに、「小」や「中」などと記載されいているものがあります。
これは、穴の大きさを表しています。
栽培する作物の大きさに合うものを選んで使いましょう!
:45mm
:60mm
:80mm

穴の並び方は、「並列」か「チドリ」

ホールマルチは穴の並び方が、2パターンあります。
支柱の立て方や栽培する作物の育ち方を考慮して、最適な方を選びましょう!
並列:等しい間隔で、まっすぐ穴が並んでいるもの
チドリ:株間の半分の位置で、交互に穴があいているもの

4. マルチと一緒に準備しよう!

マルチを張るため必要な道具がいくつかあります。
はじめてマルチを使う際には、一緒に準備をしておきましょう!

マルチ押さえピン

シートが風でめくれたり飛ばされたりしないように、裾を留めておく道具です。
土や石でも代用ができますが、マルチ押さえピンを使った方が、一人でもピンッと上手にしっかりと張ることができるのでオススメです!
また、雨で土が流され、はがれてしまう心配もありません。
マルチ押さえピンには、素材や価格で様々な種類があるので、使う数量や頻度などを考慮して選びましょう。

穴あけカッター

その名の通り、マルチシートに穴をあけるための道具です。
直径 40mmの小さめのものから、使いやすい100mmのものまで、様々なサイズがあります。
栽培する作物に合わせて選びましょう!

これがあると、もっと便利!マルチローラー!

「マルチローラー ハリハリ君」は、腰を曲げることなく、一人でも簡単・上手にマルチ張りができる優れもの!
マルチ張りが劇的にラクになります✨
マルチの先端角をマルチ押さえピンで固定をして、あとは引っ張るだけ!
アルミ素材でできているため、軽くて扱いやすく、サビにくいのも嬉しいポイントです。
家庭菜園の方はもちろん、プロの農家の方にも使っていただきたい逸品です!

最後までご覧いただき、ありがとうございます✨
育てる作物や季節に合わせてマルチを選ぶと、きっと上手に育てることができますよ!