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2023.12.22 農業のこと

チッ素を、もっと詳しく!

リン酸、カリウムと同じ「肥料三大要素」のひとつで、植物の生長や光合成に欠かせない「チッ素」
今回は、そんなチッ素の働きや特徴、おすすめのチッ素肥料などをご紹介いたします!

1. チッ素の役割

チッ素は、植物や野菜の「カラダ」を大きくするのが得意!
タンパク質やアミノ酸、葉緑素を作るのに必要な成分で、植物の生長になくてはならないものです。
チッ素が不足すると、光合成が十分に行われず、植物が生長しづらくなってしまいます。
植物が日光のエネルギーを吸収するためには「葉緑素」が必要ですが、材料のひとつであるチッ素が不足すると、葉緑素が十分に作られず光合成も行われなくなってしまいます。
葉が小さくなる、黄色になる、時には一部が黒く変色してしまうなどの症状がでます。

2. 与えすぎにも注意!

植物の生長に欠かせないチッ素ですが、与えすぎるといろいろな弊害が出てしまいます。
トマトやキュウリなどの果菜類の野菜では、葉や茎ばかりが伸びて、花や実の付きが悪くなります。
さらに、美味しくなくなったり病気や害虫に弱くなったりすることも…。
大きくしたいからといっても、与えすぎには注意が必要です!

💡なぜ、食味が落ちたり病害虫に弱くなったりするの?

それは、植物の中の炭水化物がムダに消費されてしまうから!
植物は光合成によって、空気中の二酸化炭素を吸収して、糖をはじめとする炭水化物と酸素を作ります。
その炭水化物をエネルギーとして、体内にチッ素を取り込みます。
土の中に過剰にチッ素があると、余分なチッ素もカラダの中に取り込もうとして、せっかく蓄えた炭水化物がムダに消費されてしまいます。
その結果、甘みが減って美味しくなくなったり、カラダが弱くなって病害虫に弱くなったりしてしまうのです。

3. チッ素の種類

実はチッ素には、「有機態窒素」「アンモニア態窒素」「硝酸態(しょうさんたい)窒素」「尿素態窒素」など、いろいろな形があります。
今回は、その中の「アンモニア態窒素」と「硝酸態(しょうさんたい)窒素」の2つの形について紹介します。
なお、作物は、それぞれどちらのチッ素を好むかが決まっていますが、多くの作物は硝酸態の形でチッ素を吸収します。

アンモニア態窒素(NH4⁺)

水素とチッ素を高温高圧で反応させて、工業的に作られたものをいいます。
チッ素(N)に水素(H)が4つ付いていて、プラスの電気を帯びています。
米やブルーベリー、レタス、茶などはアンモニア態窒素の方を好みます。
アンモニア態窒素の特徴は、土の中にとどまりやすく、持続性があること。
もともと、土はマイナスの電気を帯びているため、プラスの電気が流れるアンモニア態窒素は引き付けられて流れ出にくいです。

硝酸態窒素(NO3⁻)

アンモニア態窒素が、土の中にいる「硝化菌(しょうかきん)」という微生物によって分解されたものです。
チッ素(N)に酸素(O)が3つ付いて、マイナスの電気を帯びています。
多くの作物は、この硝酸態窒素を好みます。硝酸態に分解されることで、水に溶けやすくなり、植物により吸収されやすくなります。
そのため、硝酸態窒素を多く含んでいる肥料は、速効性があり素早く効きます。
ただ、硝酸態窒素はマイナスの電気を帯びているため、土の中で引き付けられずに、外に流れ出やすくムダが出てしまいがちです。

作物がどちらのチッ素を好むかは、その作物の生育環境が理由として考えられます!
お米が育つ田んぼは水が張っていて、酸素が少ない状態です。酸素が少ないと「硝化菌」の働きが弱くなるため、アンモニア態窒素が硝化することなく安定して存在できます。
また、酸性の土壌を好むブルーベリーや茶の畑では、土が酸性のために「硝化菌」が働きにくく、アンモニア態窒素が多く存在しています。
硝化しなくても、チッ素を取り込めるようにうまく適応した結果、アンモニア態窒素でよく育ち、好むようになったと考えられます。

💡空気中のチッ素は使えないの?

空気中の約8割を占めているチッ素。
こんなにたっぷりあるのに、なぜ肥料として与える必要があるのでしょうか?
それは、ほとんどの植物は空気中のチッ素をそのままの形で吸収できないから。
また、土の中にもとものあるチッ素も、微生物が栄養としてすぐに使ってしまうため、植物が使うには十分な量がありません。
そのため、肥料としてチッ素を与える必要があるのです!

4. おすすめ肥料 3選!

硫安(単肥)

チッ素を約20~21%含んでいる単肥で、葉や茎を大きくする効果があります。
同じく単肥の「尿素」が43%ほど含んでいるのと比較するとチッ素分は少ないですが、その分、慣れていない人でも施肥量をコントロールしやすくいため、あげすぎを防ぐことができます。
速効性があるため、追肥で使用するのに向いています。

💡「尿素」とは何が違うの?
チッ素の割合の他に、尿素と硫安の大きな違いは「土壌酸度への影響があるか、ないか」です。
尿素が土壌酸度への影響がないのに対して、硫安は土壌を酸性に傾ける性質があります。
そのため、硫安を繰り返し使う場合には、石灰を混ぜ込むなど土壌酸度を調整する必要があります。

ヨーゲンアクセル

チッ素・リン酸・カリを中心とする「肥料の三大要素」と、マンガンやホウ素などの微量要素も入った葉面散布肥料です。
チッ素分を約30%も含んでおり、植物の生育促進や葉色の改善、台風などによる生育不良の早期回復などに効果があります。
さらに、作物の増収と品質の向上、苗の活着促進などの効果も期待でき、嬉しいポイント満載です!
ほうれん草では葉が黄色くなる「黄化症状」の改善が見込めます!

住友液肥 1号

家庭菜園を始めた人に、ぜひおすすめしたいのが「住友液肥 1号」です!
チッ素・リン酸・カリ をバランスよく含んでいて、水に薄めて使う肥料なので濃度の調整も簡単で使いやすい液肥です。
長年プロの農家さんに信頼されていた本格的な液体肥料なので、安心して美味しい野菜を作ることができます!
ほうれん草や小松菜、キャベツなどの葉物野菜に使うのがおすすめです。

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最後までご覧いただきありがとうございました✨
ぜひ、肥料選びのヒントにしてみてくださいね!