2023.07.17 農業のこと
『堆肥』を知ろう!
農業や園芸で、土づくりの際に欠かせないのが「堆肥」。
腐葉土や牛ふん堆肥、豚ぷん堆肥など「堆肥」にも様々な種類があります。
「それぞれ何がちがうの?」「こんな時は、どの堆肥を使えばいいの?」などなど…
今回は、そんな堆肥の疑問を解決するべく、それぞれの違いや使い方などを解説いたします!
1.堆肥って?
堆肥とは、落ち葉や稲わら、家畜のフンなどを微生物の力で発酵、分解させたもののことをいいます。
土壌改良材として土に混ぜれば、ふかふかな土ができたり、元肥として土に混ぜれば野菜や果物の食味をアップさせたり、堆肥を使えば良いことたくさんです!
堆肥は、落ち葉や稲わらなどの植物を材料とした「植物性堆肥」と、牛や豚などのフンを材料とした「動物性堆肥」の大きく2つに分類されます。今回は、「動物性堆肥」について、種類やそれぞれの特徴・使い方を解説します!
💡「堆肥」と「肥料」は何がちがうの?
肥料と堆肥は似ていますが、それぞれの役割に違いがあります。
肥料は植物の栄養を補うもので、窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)が三大要素となっています。
一方で堆肥は、栄養を補うだけでなく、土を良くする改良材としての役割が大きいです。
堆肥を使うことで、土が「ふかふか」になり、水はけと水もちのよい土を作ってくれます。
2. 堆肥の種類と違い
牛ふん堆肥
- 材料:ベースは、牛ふん。もみ殻や稲わらなどの植物性の材料も合わせて堆肥化されていることもあります。
- 肥料効果:小さい。牛のエサは、牧草がメインのため繊維質が多く肥料分が少ないです。
- 土壌改良効果:高い。牛のフンには繊維質が多く含まれているため、土に混ぜ込むと、粒の間に繊維質が入り込み隙間を作ります。
その結果、土がふかふかになり、通気性や保肥性が改善されます。
豚ぷん堆肥
- 材料:豚ぷん
- 肥料効果:牛ふん堆肥と鶏ふん堆肥の間くらいの肥料成分が含まれていており、ゆっくり効果が出てきます。
銅や亜鉛が含まれているのも特徴です。 - 土壌改良効果:牛ふん堆肥と比べると、効果は低いです。肥料効果と土壌改良効果のバランスが良い堆肥のため、ある程度土づくりが進んだ畑に使うのがおすすめです!
鶏ふん堆肥
- 材料:鶏ふん
- 肥料効果:他の堆肥に比べ、ガッツリと肥料効果があります。与えすぎたり、株元近くに与えてしまったりすると植物を傷めてしまう可能性があるため、注意が必要です。
- 土壌改良効果:ほとんどありません。鶏ふん堆肥は、肥料として使うのがおすすめです!
3.それぞれの使い方
牛ふん堆肥
牛ふん堆肥は、主に土壌改良材として使います。
基本的には、植え付けや植え替えのときに、腐葉土のように混ぜ込んで使用します。
1平方メートルあたり1~2kgを目安に、深さ15cm程度までよく混ぜ込みます。
牛ふん堆肥を入れるタイミングは、植付けの約2~3週間前がベストです。
💡ここでワンポイント!
牛ふん堆肥は、未熟なものは臭いがひどく、雑草の種や有害な微生物を含んでいる危険があります。
パッケージや商品説明に、「完熟」「熟成」「発酵」などと表記されたものを選ぶと安心です。
豚ぷん堆肥
豚ぷん堆肥は、主に元肥として使います。ゆっくりと緩やかに効果が出るのが特徴です。
牛ふん堆肥と同様に、植付けや植替えの約2~3週間前に土に混ぜ込んで使用します。
鶏ふん堆肥
鶏ふん堆肥は、主に追肥として使用します。
元肥としても使えますが、豚ぷん堆肥と異なり即効性があるため、追肥として使うのがおすすめです。
元肥として使う場合は、植付けや植替えの約1週間前に土に混ぜ込んでおきましょう。
💡ここでワンポイント!
鶏ふん堆肥は、牛ふんや豚ぷんに比べて、最も臭いが強い堆肥です。
臭いが気になる場合は、臭いが抑えられた粒状の鶏ふん堆肥を使うのがおすすめです。
堆肥にはそれぞれ違った特徴があり、使い方にも違いがあります。
土の状態や使用目的に合わせて種類を選ぶことが大切です!