2023.07.03 農業のこと
『石灰』を知ろう!
農業や園芸で、土づくりの際に欠かせないのが「石灰肥料」。
消石灰や苦土石灰、有機石灰など「石灰」にも様々な種類があります。
「それぞれ何がちがうの?」「こんな時は、どの石灰を使えばいいの?」などなど…
今回は、そんな石灰の疑問を解決するべく、石灰肥料の違いや使い方などをご紹介いたします!
石灰肥料ってなに?
「石灰肥料」とは、石灰岩を主成分としたアルカリ性の肥料のことを言います。
主に、土壌の酸性度を調整するために使用し、消石灰や苦土石灰、有機石灰など様々な種類があります。
なお、「石灰岩」とは炭酸カルシウムを50%以上含む堆積岩のことで、貝殻や珊瑚などの遺骸から出来た「生物堆積岩」と、水中のカルシウムが沈殿してできた「化学堆積岩」の2種類に分けられます。
消石灰、苦土石灰、有機石灰のちがい
消石灰
消石灰とは水酸化カルシウムのことで、生石灰と呼ばれる石灰石と水分を化学反応させたものです。
アルカリ成分は60~70%と、生石灰に次いで高く、酸性度の高い土を中和するために使用します。
消石灰は水と反応して熱を持つため、消石灰を撒いた直後に種や苗を植付けないように注意しましょう。
植付けの2週間前に土に混ぜるのが一般的です。
また、消石灰の成分と肥料の成分が化学反応を起こすこともあるため、肥料は消石灰を撒いた1週間後に施します。
苦土石灰
苦土石灰とは、ドロマイト系の石灰岩を粉砕したもので白色の粉末状もしくは粒状をしています。
カルシウムやマグネシウムを豊富に含んだ石灰肥料で、アルカリ成分は55%以上です。
生石灰や消石灰ほどアルカリ性は強くなく、緩効性なのでゆっくりと土の酸性度を調整をしてくれます。
また、カルシウムとマグネシウムが植物に必要な栄養の補給にも役立ちます。そのため野菜づくりで使用される石灰肥料では、この苦土石灰が一般的です。
苦土石灰は散布後すぐに作付けが可能ですが、2週間前に散布して土になじませておいた方が効果的です。
有機石灰
有機石灰は、カキやホタテの貝殻や卵の殻などを粉砕した、粉末状の石灰肥料です。
アルカリ成分は50%ほどで、消石灰や苦土石灰に比べるとアルカリ度は低めです。
土壌酸度の変化が穏やかなため、すぐに酸度調整の効果はでませんが、撒いた後すぐに種を撒いたり、苗を植えつけたりできるのが特徴です。
また、土が硬くなりづらいというメリットもあります。
粒状と粉状、どっちが良いの?
石灰肥料には、粒状のものと粉状のものがあります。
それぞれ、効果が出る早さや散布のしやすさなどが異なるため、使用する目的や土の状態に合わせての使い分けがおすすめです!
- 粒状
効果が出る早さ:ゆっくり、おだやか
散布のしやすさ:風に飛ばされにくく、散布がしやすい - 粉状
効果が出る早さ:早い
散布のしやすさ:風に飛ばされやすく、散布がしにくい
消石灰、苦土石灰、有機石灰にはそれぞれ違った特徴があり、使い方にも違いがあります。
土の状態や使用目的に合わせて種類を選ぶことが大切です!